イタリアオペラの巨人、プッチーニとヴェルディの代表的なオペラを紹介します。


ヴェルディのオペラ

ドン・カルロ

ヴェルディの23作目の歌劇。16世紀のスペインを舞台に、スペイン国王フィリッポ2世(実在したスペイン国王フェリペ2世)と若き王妃エリザベッタ、スペイン王子ドン・カルロ、王子の親友ロドリーゴ侯爵、王子を愛する女官エボリ公女、たち多彩な登場人物が繰り広げる愛と政治をめぐる葛藤を壮大で重厚な音楽によって描いています。

オペラの中でフィリッポ2世は、王子ドン・カルロの婚約者(エリザベッタ)を息子から奪って結婚したことになっている。何ということか。当然ドン・カルロは父親を恨んでも恨み切れない。父親はそれがわかっているから大変な苦悩の中にあります。フィリッポ2世が第2幕で歌うアリアは為政者の頂点にありながら悩みつきぬわが身を嘆いていてバスの名曲です。これはある意味で、全ての男に共通する苦悩を含んでいるとも言え、聞くものに深い共感を与えるのではないでしょうか。

その他、このオペラの登場人物はそれぞれが深い悩みを抱いておりアリアに深みを与えています。いわば、人間の業と苦悩のデパートとも言うべきです。当然のごとく、王はわが妻を愛している息子を罰せざるを得なくなり、妻もまた不倫の恋に耐えられず息子とともに死を迎えることになります。しかし、単なるメロドラマとは異なり、人間の奥深くにある心象風景ともいうべきものを描いていて聞く者に深い感銘を与える傑作オペラであす。
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