イタリアオペラの巨人、プッチーニとヴェルディの代表的なオペラを紹介します。


ヴェルディのオペラ

椿姫

これもヴェルディ中期の傑作オペラのひとつです。プロヴァンスの田舎からパリに出て来た青年と、高級娼婦ヴィオレッタとの悲恋物語です。高級娼婦というのが現代人には引っかかるところですが、当時はそれはそんなに不道徳なこととは見られていなかったようです。そしてオペラの中のヴィオレッタは清純そのものです。しかも彼女は結核を患っているという設定になっていて、同情こそされ、憎むことはできません。青年アルフレードとヴィオレッタとの恋に、アルフレードの父親が絡みます。父親は当然、ふしだらな女と息子との結婚を許すことはできません。が、最後息をひきとる段になって、初めてヴィオレッタの真心に打たれて二人を許すという、メロドラマ中のメロドラマで話は終ります。

ストーリーは全くお涙頂戴のメロメロの内容ですが、ヴェルディの音楽は素晴らしいものがあります。第1幕で歌われる「乾杯の歌」はあまりにも有名ですが、私は父親(ジェルモン)の歌う「プロヴァンスの海と陸」が大好きです。パリの汚れた生活をやめていなか(プロヴァンス)に帰ってこい、と息子に語りかけるアリアですが、父親の息子を思い諭す気持ちが切々と伝わってくるバリトンの名曲です。

全くの余談ですが、昔20代のころ、コンチネンタル・タンゴの名曲に「ヴィオレッタにささげし歌」というのがありました。ずっと後になって、これはヴェルディの「椿姫」からとられたものだと知りました。それにしても「椿姫」という邦訳のタイトルはだれがつけたのかしりませんが、よくぞこの名前をつけたものと思います。原題「トラヴィアタ」は『堕落した女』の意味があるそうです。
inserted by FC2 system