イタリアオペラの巨人、プッチーニとヴェルディの代表的なオペラを紹介します。


プッチーニのオペラ

トゥーランドット

「トゥーランドット」は、プッチーニが集大成を期した最初のグランドオペラです。ストーリーは「謎かけ姫物語」と呼ばれる物語の類型で、場面の設定は伝説時代の北京。美しいトゥーランドット姫に求婚する男は、彼女の出題する3つの謎を解かなければならない。姫はその謎が解けない場合その男を斬首する、という厳しい掟を作って、もう何人もの外国の王子が処刑されています。この中でダッタンの王子カラフが果敢にこれに挑戦し、見事に3つの謎を解いて、めでたく美しい姫を獲得する、メデタシメデタシというまさにおとぎ話なのです。

トリノオリンピックで荒川静香が金メダルを獲得したことでこのオペラは一躍有名になったわけで、思わぬところで多くの人に名を知られることになりました。しかし、あそこで使われたのはカラフの歌う「誰も寝てはならぬ」だけで、その他にも美しい音楽がふんだんに流れていることを知らなければ片手落ちというべきです。

実は『トゥーランドット』は召使リューが自刃する箇所まで作曲したところで、プッチーニは病死してしまい、以降は弟子のアルファーノが曲を完成させました。初演は1926年に、名指揮者アルトゥーロ・トスカニーニによりミラノ・スカラ座で行われましたが、その初日、トスカニーニはプッチーニが作曲した最後の所(リューの死)まで来ると"作曲者は此処でペンを置いて亡くなった"と述べて演奏を中止し、弔意を表したと言われています。

アリアとしては、カラフの歌う例の「誰も寝てはならぬ」が超有名ですが、それ以外では、私はリューの歌う2つのアリア(と言っていいかどうか知りませんが)が大好きです。誰でも一度聞けばその美しい旋律の虜になるはずです。女性の愛と真心の極致!ともいうべき、素晴らしい歌です。プッチーニは、リューの中に女性の理想像を描いていたとも言われています。
inserted by FC2 system