イタリアオペラの巨人、プッチーニとヴェルディの代表的なオペラを紹介します。


プッチーニのオペラ

トスカ

時は1800年、舞台はローマ。このときローマは共和制が崩壊していて、王制のもとで恐怖政治が行われていました。王制派と共和制派の激しい争いがオペラの背景になっています。王制側の警視総監スカルピアは、共和主義者で脱獄に成功したアンジェロッティを追っています。アンジェロッティは教会でマリアの絵を描いていた画家で共和主義のカヴァラドッシと出会い、彼に助けられます。アンジェロッティを追ってきて教会を捜索していた警視総監スカルピアは、そこでローマの歌姫トスカを見つけます。トスカはカヴァラドッシの恋人です。スカルピアはトスカに罠をかけて、アンジェロッティの居所をつきとめ, ますが発見はできません。しかし陰でカヴァラドッシが彼を匿ったことを知ります。

カヴァラドッシを捕えたスカルピアは彼を拷問にかけアンジェロッティの隠れ場所を白状させようとします。この時、トスカを拷問の場に居合わせて苦しめます。トスカは恋人の拷問の姿を見せられて我慢できず、ついにアンジェロッティの居場所を教えてしまいます。

しかし王制派の敗北を喜ぶカヴァラドッシに怒り狂ったスカルピアは彼を捕えて死刑を宣告します。トスカは彼の命を助けてほしいとスカルピアに頼みます。スカルピアはトスカが体を自分に捧げるなら助けてやると約束します。そして、スカルピアが彼女の体に手を触れようとした瞬間、トスカはそこにあったナイフでスカルピアを刺し殺してしまいます トスカはサン・タンジェロ城の牢屋に捕らわれているカヴァラドッシのもとに駆けつけます。彼女は一部始終を彼に話して、銃殺刑は空砲で見せかけのもので、その後いっしょに逃げられることを伝えます。 しかし、実際は処刑が執行されて、トスカがカヴァラドッシに近寄ってみると、彼は死んでいます。スカルピアとの約束が嘘だったことにトスカは初めて気が付きました。ちょうどスカルピア殺害を発見した兵士が追ってきたとき、トスカは城壁から身を投げて自らの命を絶ったのでした。

このオペラはそのドラマチックは展開と登場人物の激しい個性のぶつかり合いで見るものを圧倒します。その中で歌われるいくつかのアリアはその劇的な展開の場面場面に見事にマッチして盛り上げます。中でも第1幕でカヴァラドッシの歌うアリア「妙なる調和」、第2幕にトスカのアリア「歌に生き、愛に生き」、第3幕にカヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」という3つのアリアがあり、その旋律は一度聞いたら忘れることができません。プッチーニの得意とする旋律美の極致です。

いろいろな意味で「トスカ」は全てのオペラのなかで頂点にたつオペラだと思います。どちらかというとドラマチックな面が勝っていますが、そのカテゴリーの中では一番のオペラで、いつ見てもオペラを見る楽しさを満喫させてくれます。
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